オリジナル・ボーカルのアルバムCD。
変わった空気を持ったサークルです。
中性的な歌声のボーカル・Nina Branchさんが超個性的。ダルそうにしてるけど実はぶち壊れそうな激情を持っていそうなイメージ。
それに合わせて曲の方もオウンワールドを演出してる。ドラムン、クラシック、宗教系、ポップス、80'sをごちゃまぜにした味のある曲調。マニアックです。
陰か陽かで言えば完全に「陰」側なんだけど「ダーク」と言うほど簡単なものでは無い気がする。
ほとんどの歌モノサークルが暗さをゴシック色で演出しているなか、違った視点から陰路線を進んでいます。
そしてなにより特筆すべき点は歌詞。
ACIDMANのような、哲学的にも感じる言葉遊び満載の歌詞は他の同人音楽から一線を画してます。どちらかというとポップスよりインテリ・ロック的な言葉選び。
一曲目の出だしからして
「透明無職の酸素を吸って 一体いつから酸素を吸って 覚醒辞令はいつ何で起き 永眠辞令はいつ何で起き」
とセンス抜群。
特徴的な響きの単語を多用するので、普通のメロディにも個性を感じる。
同人音楽フィールドにも、良い「詩」を書く人はいっぱいいるけど、このレベルの面白い「歌詞」を書ける人は滅多にいないんじゃないだろうか。
@神々しいクワイアのイントロを経てドラムン/アートコア風の疾走サビへ。サークルの奇妙さを圧縮した名刺代わりに使えそうなリードトラック。
A言葉遊び満載のAメロが面白い!連呼が耳に残るサビもナイス。ボーカル以上に感情豊かに踊るバイオリンも聴き所。
BトリッキーなメロディをしたBメロがサビ以上に耳に残る。哲学的な歌詞も相まって不思議な空気を演出してます。
Cパッと聴くと80'sフォーク。でもどこか淀んでる。サビはボーカルが不安定ですが逆に味がある。サビから入ってくるキーボードがたまらんなぁ。良い意味で古臭い。
DEなぜかアルバムのど真ん中にインスト曲が二つ。ちょい浮いてるかなぁ。
F地を這うようなベースに細かいドラムが絡みつくダークな曲。地面に水が染み込んでいくような粘着質のある曲調です。サビが妙に癖になる。
GCD内では比較的ポップな曲。でも促音を多用した歌詞は特徴的。ハミングがツーデラの「sync」を口ずさんでるように聴こえてつい笑ってしまうw
Hジャズと昭和歌謡をミックスしたよくあるパターンですが、サビの「有罪でしょう?有罪でしょう? 何時だってそう何時だってそう 傲慢美人転落劇」のフレーズによりThe Spring Beach Works.カラーが出てる。
Iラストはピアノバラード。こういった普通の曲になると歌唱力の弱さが少し気になってくるかな。
マニアックな音世界なんで、歌中心のポップなのが好きな人にはちとキツイかな?
個性的な音を求めている人にはオススメです。
「面白く」て「凄い」一枚。今後が楽しみです。
書いてて思ったけど、このCDかなりレビューしにくいです。言いたいことを表せられる単語が出てこないー。
個性が無いのも書きにくいけど、ここまで個性があるのもなかなか苦労するな。
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